1A 7/22 ○ よみうり旗決勝vsファイターズ  (210040|7 ) (200100|3)

 日ハム旗の旅が終わった昨年秋、監督は次のテーマとして選手に「自主性」を求めました。

 自ら考え、自ら行動せよ。

 それは高い目標でした。

 時に暗闇の中で前へ進んでいるのかも分からない、険しい道のりが続きました。

 勝利と敗戦が交互し、つかんだと思った光りは瞬いて消え、3連敗も経験しました。

 苦しかった。

 

でも少年たちは、歩みを止めませんでした。

 おのれの特技を探し、仲間と連なる策を学び、気持ちを強く、一つに。

 臨んだ今大会、初戦と準決勝では特別延長の死闘を勝ち抜きました。

 たどり着いた決勝の朝、集まった表情に驚かされました。

 浮つきも気負いもなく、大きな舞台へ向かう喜びに満ちたクールな笑顔。

 胸の内では、闘志が青く静かに燃えています。

 

 試合は、先手を取っては追い付かれる灼熱の展開。

 序盤、打線はむしり取るように1点を積み重ねました。

 「流れは一度落ち着くぞ。耐え抜いて、爆発しよう」。

 監督の円陣にうなずく26の瞳には、強い力が宿っています。

 エースは折れることを知らず、野手は身を投げ出して守り、ベンチの声は途切れません。

 5回表。チャンスが来ました。

 監督が組んでいた腕を解き放ち、稲妻のようにタクトを振るいます。

 少年たちの決意とサインが一つになり、続々と進塁するランナー、そして連打。

 青い炎は紅蓮となってガッツポーズを連ねました。

 苦しい終盤にもクローザーはあくまで冷静、守備は網となってカバーを重ねました。

 勝利の瞬間、初戦と準決勝のような全身の咆吼はありません。

 並んでいたのは、さわやかな表情。朝と同じ静かな笑顔。

 自らの意志で突き抜けた者たちは、ここまで成長するのでしょうか。

 

この大会で掲げたフレーズは「楽しんで勝つ」でした。

 監督はいつも話していました。

 「厳しく指導することは簡単だが、君たちは自分の力で道を切り開いてほしい。難しいテーマなのは分かっているけど、みんなで同じところを見て、今を超えてほしい。それが成長なんだよ」

 昨年秋から、監督に叱られた記憶はないはずです。

 技術指導をしてくださるTコーチは「学童野球では極めて高いレベルを設定し、チーム一丸で目指す姿が素晴らしい」と言っていました。

 己の力で頂きへ登り、力を束ねて結果を出した君たちは凄い。

 優勝おめでとう。自信を持って前へ進め。

 

 最後に。

 支えてくれた人たちへの感謝を忘れないでください。

 監督、コーチ、総監督。

 ベイマリファミリーは毎試合、スタンドで声を枯らしていました。

 早朝からグランドを設営してくださった連盟の皆様、暑さの中でジャッジを続けてくださった審判の方々。

 

仲間たちと、ライバルたちがいなければ野球はできません。

 そして何より、いつの日も君を思うお母さんとお父さんに。

 「泥だらけのユニフォームを洗うたび、他のお母さんも今ごろ洗っているのかなと想像すると、ああ一緒だねと思えて…」

 勝利後のミーティングで、Y君のお母さんは泣きました。

 

ブログの最後に毎回綴っている監督の言葉は、その試合のある週の前半に頂いています。

 読み返してみてください。珠玉の導きのようです。

 当週はこんな言葉でした。

 「こんがり日焼けしてきた選手たちは一段とカッコいい。『さあ駆け抜けろ。君たちなら、できる』」